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増殖の陰で… 地域格差が進行する歯医者の数

2016年、日本の人口はおよそ17万人減少しました。(※1)日本の総人口は2008年にピークを迎え、以降減少し続ける見込みです。2060年には現在のおよそ3分の2にあたる8674万人まで減少すると推測され、消費活動の大幅な落ち込みが予想されています。(※2)

その一方で、歯科医師数は2014年には10万人を突破し、過去最高を更新し続けており(※3)、歯科治療業界では需給バランスの破たんが懸念されているというのが一般的な見方です。

しかし、果たして本当に歯科医師は過剰なのでしょうか。そして、これからの時代を歯医者が生き残るにはどうすればいいのでしょうか。

データを読み解くと、歯科医療を取り巻く課題が見えてきました。

 

(※1)総務省人口推計

(※2)厚生労働省『人口減少の見通しとその影響』

(※3)日本歯科医師会

 

◆【マクロな視点】競争の激化は医療格差を招く懸念も

2014年12月31日の時点で届出が出されている歯科医師の数は10万3972人となり、過去最高を記録しました。同じ時点において内科医の総数は6万1317人、外科医の総数は1万5383人であることから、歯科医師の数は他の科と比較してもとびぬけて多いことがわかります。(※4)

もちろん、歯科治療は他の診療科目に比べて患者1人当たりにかかる時間がか長いため、歯科医師数が多いのはある意味当然のことです。しかし、当初国民10万人に対して50人の目標だった歯科医師の数は、気がつけば国民10万人に対して80人を超える数にまで達しており、供給過剰であると言わざるを得ない状況だとされています。(※5)

しかも、先述のとおり日本の総人口は2008年にすでにピークを越え、今後は減少し続けると見込まれているので、供給過多の状況は悪化していくだろうということは誰の目にも明らかです。

競争が激化することでより高い利益率を求めて自費治療へのシフトが起こり、所得の多寡に依存した医療格差が進行することが懸念されています。現に、子どものむし歯は全体で見ると減少しているにもかかわらず、共働き世帯、一人親世帯の子どもが口腔崩壊の状態で大学病院に紹介されるという痛ましい事例も少なくなく、歯の健康の二極化が進行していると指摘されています。

2016年には厚生労働省は歯科医師が1万4000人過剰だという試算を出し、歯科医師数を抑制するために歯科医師国家試験の基準の引き上げを検討しています。供給過多の状況を鑑みれば仕方がないことなのかもしれません。

 

◆【ミクロな視点】歯科医療の地方格差が深刻化

しかし、一概に歯科医師の数が過剰であるとは言えないのではないでしょうか。確かに全体像を見れば歯科医師の数は多い状態にあるかもしれませんが、そこには地域ごとのばらつきが考慮されていません。

下のグラフは、人口10万人当たりの歯科医師の数を都道府県ごとに表したものです。

(引用)厚生労働省『歯科医師受給問題を取り巻く状況』

東京や大阪といった大都市と、歯科大学(歯学部)が設置されている都道府県(濃い青)に多くの歯科医師が集中し、人口10万人当たり80人のラインを上回っていることがわかります。しかし、その一方で人口の少ない地方では人口当たりの歯医者の数が平均を下回っており、大きな格差が存在していることがわかります。特に北陸地方では歯科医師不足の傾向が顕著で、全国平均のおよそ7割ほどの歯科医師数しか確保できていません。人口10万人あたり50人あまりという水準は50年前の目標を達成していますが、現在の高度化された治療はさらに時間がかかるため、当時のような人数をさばくことは困難です。

次のグラフは人口10万人当たりの医師の数を都道府県ごとに表したもの。

(引用)厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況

医師の数は若干傾向が異なり、西日本で平均よりも多く、東日本で少ないという特徴が見られますが、都市部と地方間の格差が歯科医師ほど顕在化していません。歯科医師の地方格差は、医師と比べて危機的な状況にあることを示しています。

歯科医師の地域格差はそのまま歯科治療の地域格差につながっている可能性があります。東京都と福井県の各自治体が出す子どものう蝕罹患率を比較すると、歯科医師数が多い東京特別区では32.2%と低い水準なのに、福井県や島しょ部では全国平均を上回る水準となっているのです。

このような状況が改善されないまま若手歯科医師の間口だけを絞る政策が実行されれば、地方における歯科医療の状況は急速に悪化しかねません。歯科疾患はとくに重篤なものを除き、地元の歯科医院が最大の受け皿となり、都市部の大学病院等への流動が比較的起きにくい傾向があります。地域住民の歯の健康を守るのは、地元に根ざした歯医者さんなのです。全体の数が過剰だからといって、偏在が解消されないまま母数を減らそうとすることには疑問を感じざるを得ません。

 

◆地方では歯科医師不足、高齢化が同時に進むおそれがある

人口の減少は少子高齢化と共にやってきます。厚生労働省の調査によると、歯科受診患者の年齢厚生では年々高齢者の存在感が増しており、2013年には全体の3分の1を65歳以上が占めるまでになっています。さらに就学児童に対する虫歯予防教育が効果を発揮し始めたことで、若年層のう蝕罹患率が改善し、受診率が減少しました。(下図参照)

(引用)厚生労働省『歯科医師受給問題を取り巻く状況』

このような状況を反映して「小児歯科」、「保存」、「補綴」といった治療分野の需要は減少して、その代わりに高齢者を対象とした「インプラント治療」や「予防歯科」、さらには「審美歯科」の需要は伸びています。近年の研究により、歯の健康は口腔だけではなく全身の健康状態に多大な影響を及ぼしていることが明らかにされつつあります。地域の住人の健康を守る上で歯科医師の重要性は増しています。この需要をうまく取り込めるかどうかが、今後の歯科医院経営における一つの戦略課題になるでしょう。

そして高齢化は地方ほど早いスピードで進行しています。地方に住む住人に予防歯科を施し、いかに歯の健康を維持していけるのか。このことにクオリティーオブライフの向上がかかっています。

取り組みは、膨らみ続ける医療費・介護費の抑制にもつながります。地方医療の現場に興味を持つ人材の育成や、地方での新規開業に対する新たな支援など、地方の歯科医療を支える施策が必要なのではないでしょうか。

 

(※4)厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況

(※5)歯科医師需給問題の経緯と今後への見解 

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