今後はホームページも関係!?獣医療広告ガイドラインとは?その中身をトコトン解説

獣医療広告ガイドライン

皆さんは【獣医療広告ガイドライン】という言葉をご存知でしょうか?

カンタンに言うと、動物病院が広告を出す際に「この内容はOK」「この内容はNG」と国が決めた指針のことです。

【獣医療広告ガイドライン】の内容を知らずに広告を出してしまうと、50万円以下の罰金や業務停止、免許取り消しの罰則が適用されることがあります。

つまり、動物病院を経営されている方にとって、非常に大切な内容なのです。

しかし、現在ウェブ上でも公開されている資料は非常にわかりにくく、何が重要なのか、どの媒体が該当するのか判断しにくいという声もお聞きします。

そこで今回は、複雑な【獣医療広告ガイドライン】をカンタン解説!

気をつけるポイントをわかりやすくお伝えしていきます。

 

【獣医療広告ガイドライン】が制定された理由

動物病院に患者さんが来院するきっかけとなるものは、看板、チラシなどがメインです。

その際、何らかの規制がなければ、集客のために誤解を招くような表現が増えてしまい、トラブルになりかねません。

広告において書いてはいけないことをしっかりと通達する。

それが国が定めた【獣医療に関する広告の制限及びその適正化のための監視指導に関する指針(獣医療広告ガイドライン) 】です。

 

【獣医療広告ガイドライン】が該当し広告とみなされる媒体

広告の定義としては、

  1.  誘引性:飼育者の興味を誘ってひきつける意図があること
  2.  特定性:獣医師の氏名又は診療施設の名称が特定可能であること
  3.  認知性:一般人が認知できる状態にあること

上記に該当するものとして、

  • テレビCM
  • ラジオCM
  • 新聞広告
  • 雑誌広告
  • 看板
  • ポスター
  • チラシ
  • ダイレクトメール(DM)

そして、インターネットの広告サイト(バナー広告も含む)も広告としてみなされる媒体です。

 

広告とみなされないものの例

広告かどうかは誘引性の有無が大きなポイントになります。

そのため、取材記事、診療施設のパンフレット、診療施設の求人広告、新聞・雑誌等の記事、行政機関の広報・ポスター、ホームページは広告としてみなされません。

 

2019年現在、動物病院のホームページは広告扱いではありません

 

記事を書いた2019年4月現在。動物病院のホームページは広告とはみなされていません。

これだけネットが普及していることを考えると、少し意外に思われる方も多いかもしれません。

実際、人の医療分野においては「医療広告ガイドライン」が2018年6月に制定され、また医療類似行為でもある整骨院や鍼灸院なども、広告ガイドラインの審議が続けられています。

動物病院においても、ほとんどの方が来院する前はホームページを見ることなどを踏まえると、

いずれは動物病院のホームページも広告に該当する可能性があります。

「医療広告ガイドライン」の内容は、様々な審議を踏まえて決められました。

そのため、新しい獣医療広告ガイドラインも、現状を知り、常に最新情報をキャッチすれば、

「どこが変更されたのか」「どう動いていくか」を効率的に理解できます。

動物病院の経営を考えるうえで大切な知識を、是非今から学んでいきましょう。

 

広告可能な事項を一挙紹介!

 

それでは、現時点で広告できる内容をわかりやすく見てみましょう。

 

① 獣医師法に基づく内容

広告OK例:「獣医師名簿への登録年月日をもって許可を受けていること」「開設の年月日をもって診療施設を開設していること」など

 

② 医療機器を所有していること

「X線CT装置(CT)」、「超音波画像診断装置」、「磁気共鳴画像診断装置(MRI)」などの記載は問題ありません。

広告OK例:〇〇動物病院腫瘍科においてMRIを導入しました→「技能・療法」を直接広告しているわけではないのでOK

 

③ 避妊去勢手術を行うこと

広告OK例:当院では犬及び猫の卵巣子宮の全摘出による避妊手術を行っています

 

④ 狂犬病その他の動物の疾患の予防注射を行うこと

広告OK例:犬猫に狂犬病の予防接種を実施しています。犬の混合ワクチンを扱っています(ジステンバー、パルボウイルス感染症、〇〇病を予防することができます)

 

⑤ フィラリア(犬糸状虫症)予防

広告OK例:月一回の経口投与でフィラリア症が予防できます。当院では注射によるフィラリア症の予防を行っています

 

⑥ 飼育動物の健康診断を行うこと

広告OK例:当院では犬の健康診断をおすすめしています。「身体検査」「血液一般検査」「尿検査」「糞便検査」を行う半日コースと、「エックス線撮影」「超音波診断検査」を追加した1日コースがあります。

 

⑦その他の項目

その他、獣医療に関する技術の向上、学術研究に貢献することを目的として設立された「一般社団法人」「一般財団法人の会員」であること、農林水産大臣の指定する診療施設であることなども掲載できます。

 

獣医療広告ガイドラインにおける広告NG例

「他の動物病院との比較」「大げさに表現する」「費用や低価格に関しての抽象的な表現」などが含まれていると広告出来ません。

その他、「景品表示法」や「医療品医療機器等法」も重要な指標です。詳しく見ていきましょう。

 

具体例1:比較広告

「どこの動物病院よりも安全に手術を行います」「〇〇さん(著名人)の猫ちゃんも当院の健康診断を受けています」などが該当します。

他の動物病院より優れている言い回しや、著名人を広告に出すことで訴求力を高める内容が比較優良広告です。

 

具体例2:誇大広告

獣医療の内容を大げさに表現した広告です。

「効果抜群のワクチンを接種します」「当院で行う避妊手術は比較的安全な手術です」「〇〇感染症が流行しており、感染すると死に至ります」などの表現には注意しなければいけません。

根拠や事実が確認できないもの、患者さんの不安をあおる大げさな内容は誇大広告に当たります。

 

具体例3:費用広告の記載

診療等の費用を広告すると、低価格競争によって獣医療の質を落としてしまう可能性があるため広告できません。

これは医療広告ガイドラインを知っている人からすると意外かもしれません。

「費用については、電話で確認してください」といった表現は掲載可能です。

しかし、「どこよりも安く〇〇予防を行います」「去勢手術、犬10,000円、猫15,000円で受付中」など、低価格を推測させたり、実際の費用を記載したりすることは認められていません。

 

具体例4:医療品医療機器等法や景品表示法の対象

「動物用として未承認のX線CT装置の写真掲載」「~%の回復効果が見込める」(データなし)などが該当します。

景品表示法や医薬品医療機器等法は、獣医療広告ガイドラインよりも対象が幅広いため、知識を身につけるのが困難です。

ただ、根拠のない言葉、データがない数字、未承認の医療機器、以上の掲載を控えればほとんどのケースで対応できます。

 

具体例5:その他掲載できない内容(チェックが難しい内容)

事実が確認できないもの、獣医学的に定着していないもの、誤解を招くような言い回しも広告が制限されています。

具体的には、

  • 「MRIによる腫瘍診断を実施しています」→「医療機器を所有していること」は広告可能でも、腫瘍診断は技能、療法に該当するので広告不可。
  • 「インプラントの皮下への埋め込みによる避妊をおすすめしています」→「避妊去勢手術を行うこと」は広告可能でも、本術式は生殖を「不能」にする手術ではないので広告できません。
  • 「ハムスターにも○○病のワクチンがあります。」→ ハムスターを対象とするワクチンは医薬品医療機器等法上承認されていないため、広告不可。

獣医療広告ガイドラインの一番の難しさは、「その他掲載できない内容」の幅広さにあります。

院で行っている治療内容が、広告可能かどうかを一つずつ判断する必要があるのです。。

 

動物病院における動物たちの幸せ

 

動物病院の業種状況とニーズの多様化

ここで、動物病院の現状を見てみましょう。

犬猫の飼育頭数は、毎年「一般社団法人 ペットフード協会」が公表しています。

犬は2008年をピークに右肩下がりで減少。猫は2015年と2017年に犬の飼育頭数を上回ったのですが、ほぼ横ばいです。飼育頭数は全体的に見ると減少傾向だといえます。(※ペットの飼育頭数の情報は「一般社団法人 ペットフード協会」(https://petfood.or.jp/data/)より)

一方、動物病院の施設数は右肩上がりです。(「農林水産省」飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/animal/より)

飼育頭数は減少傾向なのに、動物病院の施設数は増加傾向という現状があります。

つまり、数多くある動物病院の中から貴院を選んでもらうには、それぞれの媒体において、どのような事項が広告できるのかを知り、患者さんのニーズを満たすことがカギとなります。

 

まとめ:獣医療広告ガイドラインは大きなチャンス

今後ペットの高齢化が進み、歯周病や認知症などの問題から、飼い主さんと動物病院が、より密接した付き合いになっていくのは間違いありません。

つまり、人間同様、病気の予防、健診での早期発見がポイントとなります。

その際、院のホームページは飼い主さんにとっての貴重な情報源です。

しっかりと院長や各スタッフの思いを掲載することは、他院との大きな差別化に繋がるため、ますますホームページが重要になります。

そのような状況から、費用の掲載や広告範囲の見直しなど【獣医療広告ガイドライン】の改正も行われるはずです。

現状を知り、今後どのような情報を掲載すべきかを今から考えておくことは、院にとって大きなアドバンテージになります。

弊社は、各業種の現状や法務的な面も含めて動向を追い、サポートを行っていくことに強みがあります。

「ホームページが作りっぱなしでそのままになっている」「しっかりと信頼してもらえる動物病院のサイトを作りたい」「素敵なホームページにリニューアルしたい」とお考えの方は是非一度、弊社までお問い合わせ下さい。

貴院の思いや取り組みも大切にヒアリングし、人が集まる動物病院の制作をサポートいたします。

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