「医療広告ガイドライン」的にアンチエイジングを使っては駄目?エイジングケアとの違いを解説

アンチエイジングアイキャッチ

 

医療広告ガイドラインが施行されてから、そろそろ1年半以上。

ようやく相談も収まってきたかなと思うと、違反の指導が再び活発になったり、新たな論点が出てきたりと忙しさに終わりはありません。

当社でも様々な知見が積み重なり、日々難しい質問が飛び交っています。

その際によく議題に上がるのが、「アンチエイジング」という言葉をホームページで使えるのか、「エイジングケア」なら良いのかということです。

今回はそんなアンチエイジングの疑問について答えてみました。

 

アンチエイジングは医療広告で使ってはいけません。ただ、医療機関のホームページにおいては……?

簡単に結論を申しますと、「アンチエイジング」という言葉を医療広告で使うのはNGです。

たとえば、医療広告ガイドラインの公式資料によると、このように書かれています。

① アンチエイジングクリニック又は(単に)アンチエイジングは診療科名として認められておらず、また、公的医療保険の対象や医薬品医 療機器等法上の承認を得た医薬品等による診療の内容ではなく、広告としては認められない。

また日本抗加齢医学会(https://www.anti-aging.gr.jp/qa/ads/)のホームページでも、アンチエイジングという言葉を使わないよう同様のお達しを出しています。

日本には、アンチエイジング歯科学会も存在しますが、非常に厳しい判断です。

では、アンチエイジングは絶対に広告しては駄目なのかというと、そういうわけではありません。

医療機関のホームページにおいては「限定解除」という方法が存在するからです。

これによって「グレーゾーン」の領域が生まれてきます。

 

医療広告ガイドラインの限定解除で様々なことを掲載可能に

限定解除に関しては、過去記事において何度も掲載していますが、基礎内容の繰り返しは応用問題を考えるうえで重要なのでお付き合いください。

まず本来、医療広告で掲載可能な内容は「13項目」だけです。

たとえば医師の名前だったり、医院の所在地だったりと基本的な情報のみ。

美容外科のクリニックCMにおいて、先生の名前を連呼したり、モデルさんが踊ったり、院長がヘリコプターに乗ったりというのは理由があるわけですね。

美容外科とヘリコプター

しかし、それでは患者さんに伝えられる事が少ないので、以下の4つの条件を全て満たした場合は、様々なことを広告できるようになりました。

これが「医療広告ガイドラインの限定解除」と呼ばれるものです。

公式資料は少し言葉が硬いので、やわらかい言葉に変えました。

  • 1つめが患者様が主体的に見る媒体だということ
  • 2つめが問い合わせ番号とメールアドレスを必ず記載
  • 3つめが自費診療を行う場合は治療の内容・費用を書きましょう
  • 4つめが薬の副作用や治療のデメリットを書きましょう

重要なのは上記4要件を全て満たした場合にのみ、様々な広告が可能になることです。

つまり、CMや看板、チラシなどは1つ目の要件を満たさないので限定解除ができません。ユーザーもしくは患者様が受動的に受け取ってしまう媒体だからです。

一方でホームページは検索してたどり着く広告のため、1番の要件をまず満たせるというわけです。

ただしリスティング広告は1番を満たしていないので、広告出来る項目に制限があります。(実態は異なりますが)

今回は限定解除の4要件に関しては、わかりやすさを重視して簡略化しました。

詳しい内容を知りたい方は当社の医療広告ガイドラインの記事をご参照ください。

 

限定解除をしても掲載できない項目があります

注意が必要なのは、限定解除しても広告できない内容が存在することです。

それが、以下のような内容です。

  • 1.比較優良広告
  • 2.誇大広告
  • 3.虚偽広告
  • 4.体験談・口コミ
  • 5.キャンペーン料金
  • 6.メディア掲載情報
  • 7.有名人来院
  • 8.その他のケース(どたばた表現、ふざけた表現など)

ある内容を広告できるかどうかを考えるには、まず限定解除できるかどうか。

そのあとに「掲載を考えている内容がこれらの項目に該当しないか」といった流れが、医療広告ガイドラインをチェックする際の基本的なフローです。

ちなみに近頃指導が増えている項目として、「キャンペーン料金」が挙げられます。

「いまだけ」「おすすめプラン」などほぼすべての表現がNGとなっているため、各医院は対応に苦労しているようです。

 

アンチエイジングは誇大広告?

アンチエイジングの女性

ということで戻りましょう。

医療機関のホームページにおいて限定解除をすれば、アンチエイジングが掲載できるのかどうか?

これは「アンチエイジング」という言葉が、誇大広告に該当するのかどうかが焦点になると思います。

そこで言葉の意味合いを見てみましょう。

大辞泉で調べてみると、アンチエイジングという言葉は「加齢に伴う症状の予防と治癒。老化防止。抗加齢。抗老化」という意味です。

また、日本抗加齢医学会においては、アンチエイジングを医療と位置づけて、以下のように定義しています。

「加齢に伴う動脈硬化や、がんのような加齢関連疾患の発症確率を下げ、健康長寿をめざす医学である。」

これだけ見ると、アンチエイジングがあまり誇大広告に該当する印象は受けません。

次に似たような言葉に「エイジングケア」や「エイジング対策」があります。近年アンチエイジングに代わって、増えている表現の一つです。

「エイジングケア」の表記は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で認められているため、ガイドライン的にも使って良いという方向になっているのだと思います。

しかし、薬機法において「エイジングケア」という言葉を使うためには一定のルールがあります。

基本的には、エイジングケアとは、年齢に応じた化粧品等によるケアのこと。

治す・改善など肌状態の変化は広告出来ません。あくまで、現在の状態をキープ・維持するという表現のみがOKなのです。

 

医療機関のホームページにおいては限定解除すれば掲載可能

アンチエイジングは医療的な側面が強いのに対して、エイジングケアは薬機法や景品表示法の観点から化粧品や医薬部外品などの分野と親和性が高いようです。

そう考えると医院・クリニックのホームページにおいては、どちらかを使うべきかかというよりも中身の精査が大事だと思います。

治療の一環としてなら、「る」「歳」などの表現を行わない限り、広告の限定解除を行えば広告できる可能性が高いのです。

実際にさきほどの、日本抗加齢医学会においては以下のような質問がありました。

  • Q1:アンチエイジング診療内容についてHPでつかえますか。
  • Q2:専門医・指導士はHPにつかえますか。
  • A:限定解除で使用が可能です。※ただし、薬事法において医薬品医薬部外品では使用ができないケースがあります。保健所によっても見解が異なる場合があります。ご留意ください。

また興味深いのは、その下に書かれている、平成30年12月に行われた「第4回医療・介護ワーキング・グループ議事概要」の厚生労働省の見解です。

厚生労働省も一律にアンチエイジングという表現について、全て駄目と言っているわけではなく、単にアンチエイジングだということで誘引をするようなものは、なかなか認めることができない。しっかりと、条件を満たすものについては、「広告可能な事項」以外のものについても情報として提供していいという取扱いにしている。

そうなると薬機法との兼ね合いが気になるところですが、

医療広告ガイドライン第6「相談・指導等の方法について」の「景表法等の他法令との対応」についてではこのように述べられています。

医療に関する広告として、医薬品又は医療機器による診断や治療の方法等を広告する際には、医療行為として医薬品等を使用又は処方する旨であれば、医薬品医療機器等法上の広告規制の対象とはならないが、販売又は無償での授与をする旨が記載された広告であれば、医薬品医療機器等法上の広告規制も受けることとなる。

つまり、アンチエイジングが医療行為であると考えているならば、医療機関の ホームページについては、「アンチエイジング科」。「アンチエイジングドッグ」の名称も含めて掲載可能な余地が残されています。

ただし、医院クリニックでサプリメントを販売する場合などは治療目的ではないため、アンチエイジングの名称は使わない方が良さそうです。

 

「アンチエイジング」か「エンジングケア」のどちらが良いかはクライアントの意向によって異なる

医療広告は基本的にアンチエイジングがNGで、医療機関のホームページにおいては限定解除をして、誤解させないように内容を充実させればOK

そのうえで、アンチエイジングとエイジングケアのどちらを使うべきなのか。

当社としては、「エイジングケア」に言葉を変更するケースが多いです。

なぜなら医療機関のホームページ以外においては、徐々に「アンチエイジング」という言葉を使わなくなっている傾向にあるからです。

そのデータを裏付けるのが上記のグラフです。

グーグルトレンドと呼ばれるツールを使って、2010年からのキーワードの移り変わりを調べてみました。

当初はエイジングケアが劣勢だったのですが、徐々にアンチエイジングに近づいているのがお分かりいただけると思います。

実際に某大手美容外科もエイジングケア、エイジング対策などに言葉を変えるところが増えてきました。

当社では、一人一人のお客様のご要望に応じて、柔軟に対応しています。

 

まとめ

「アンチエイジングは医療広告で使えない」という見解は必ずしも正しくありません。

医療広告に関しては、ネット上にも様々な情報があるので、まずは「本当かな?」「いつの情報だろう?」と立ち止まって考えることが重要です。

そうすれば、新しい情報が入ってきても問題なく対応できます。

たとえば最近では美容分野においてネオ(最新)エンジングケアという言葉が話題になっています。

内容は別にするとして、ネオ(最新)+エンジングケアです。「最新」という言葉はガイドライン的にある程度許されているので問題なさそうな言葉ですね。

このようにガイドラインの対応は日々進歩しているので、当社としてもどのような表現が出来るのかを可能な限り追求しています。

 

※本記事もまた追記する可能性があります。

(ライター:小宮山昇平)

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