集客に影響!?医療機関ホームページガイドラインって何?守らないとどうなるの?

医療機関ホームページガイドラインって何?守らないとどうなるの?

 

皆さまこんにちは。

今回は、「医療広告ガイドライン」「医療機関ホームページガイドライン」についてお話します。あんまり聞いたことがないという方も多いかもしれませんが、病院のホームページを持っている場合や、これからホームページを作りたい場合、絶対に知っておいたほうがいいものです。

なぜなら、2018年度から、「医療広告ガイドライン」「医療機関ホームページガイドライン」に従っていない病院ホームページを運営していると、刑事罰に問われる可能性があるからです。

でも、そもそも「医療広告ガイドライン」と「医療機関ホームページガイドライン」ってどんなものか、何のためにあるのか、みなさんご存知ですか?

 

「医療広告ガイドライン」と「医療機関ホームページガイドライン」とは?

「医療広告ガイドライン」と「医療機関ホームページガイドライン」

2つはよく似た名前のガイドラインですが、この違いについて知っていますか?

とっても簡単にいうと、「医療広告ガイドライン」は看板やチラシのような広告の決まりごとで、「医療機関ホームページガイドライン」は病院ホームページの決まりごとです。

医療に関係する業務は健康や生命にかかわることなので、広告で書いてもいいことがかなり厳しく決められています。

たとえば、「絶対治る!」と嘘をついたり、大げさに書いたりすることは認められていないんです。違反すると刑事罰に問われてしまいます。

こうした決まりごとを書いたのが「医療広告ガイドライン」というわけです。

 

でも、最近になって広まったインターネット上のホームページは広告扱いされていませんでした。

だから、ホームページの中だったら比較的自由になんでも書くことができたんです。

それこそ広告だったら絶対に捕まってしまうような表現も、大目に見られてきました。

でも、それって悪用されたら、大きなトラブルに発展してしまうかもしれませんよね?

医療は健康や生命にかかわることなので、間違った情報を鵜呑みにしてしまうと、とっても危険なんです。

 

インターネットが普及して、だれでも使えるようになってくると、病院ホームページの内容が原因のトラブルが増えてきてしまいました。

でもホームページは広告ではないので、厳しく規制できません。

あんまり厳しく規制すると、患者の知る権利まで侵害してしまうかもしれないからです。

こうした背景があったため、厚生労働省は苦肉の策として2012年9月に「医療機関ホームページガイドライン」を発表しました。

「医療機関ホームページガイドライン」は、広告規制とまではいかないけれども、ホームページで守って欲しい決まりごとをまとめたものなのです。

 

このガイドラインを作成した経緯について、厚生労働省は次のように発表しています。

 

これまで、厚生労働省は、ホームページについては(中略)当該医療機関の情報を得ようとする目的を有する者が検索等を行った上で閲覧するものであり、原則として、医療法の規定の対象となる広告とは見なしていません。

他方で、インターネット等を通じた情報の発信・入手が極めて一般的な手法となっている現状において(中略)ホームページに掲載されている情報を契機として発生するトラブルに対して、適切な対応が求められる事態が生じています。

厚生労働省としては、医療機関においては、営利を目的として、ホームページにより国民・患者を不当に誘引することを厳に慎み、国民・患者保護の観点も踏まえ、ホームページに掲載されている内容を国民・患者が適切に理解し、治療等を選択できるよう、客観的で正確な情報提供が行われるべきであると考えています。

 

厚生労働省 2012年9月28日報道発表資料より

 

簡単に言うと、今までホームページは広告規制の対象外だったけど、インターネットが普及してホームページについての苦情が多くなったから、ガイドラインを守って欲しい! ということです。

 

ここからが重要!2018年度からはホームページも広告になるかも!?

ところが、です。

2012年に「医療機関ホームページガイドライン」ができたものの、これはあくまでも指針なので、法的拘束力はありませんでした。

「医療機関ホームページガイドライン」に沿って、都道府県の担当者が「是正してください!」と指導してくることもありますが、罰則はないので状況はあまり改善しなかったのです。その間にも、医療サービスに関する消費者トラブルの相談件数は増加してしまいました。(平成26年度には2600件以上!)

 

このような問題があったため、ついに消費者委員会はホームページを広告に含めて、厳しい規制を始めていく方針を決めてしまったのです。

 

【美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議(消費者委員会 平成27年7月)】

  1. 医療機関のホームページを医療法上の「広告」に含めて規制の対象とすること。
  2. 少なくとも医療法に基づき禁止している虚偽広告や誇大広告、客観的事実であることを証明できない内容については、医療機関のホームページについても禁止すること。

内閣府HPより

 

じつは、これに絡んだ医療法の改正法は、すでに2017年6月14日に公布されています。

施行は公布日から1年を超えない範囲で行われる予定なので、2018年の6月までには、ホームページが広告になって、厳しく規制されてしまう可能性が非常に高まっているのです。

ホームページが広告になってから「医療広告ガイドライン」を違反すると、看板やチラシの場合と同じように、刑事罰に問われてしまう可能性があります。

 

ただ、先ほどもいったように、ホームページは患者の知る権利を保障するための「情報提供の場」という大事な役割も持っています。

あまりに厳しく規制してしまうと、ホームページにはなにも書けなくなり、患者の知る権利が侵害されてしまうかもしれません。

そのため、どれぐらいの例外規定を設けるかということが、今議論されています。

ホームページの規制がどれほど厳しいものになるのかは、まだ決まっていないのです。(2017年9月現在)

 

医療法改正を控えているので、これからホームページを作るなら、絶対に改正法を頭に入れたものをオススメします。

でも、まだ決まっていないのに、どうやってOKとNGの線引きをしていけばいいのでしょうか。

そこで制作時の参考になるのが、「医療機関ホームページガイドライン」です。

これさえ守っていればどんなに厳しい規制が行われたとしても、一発レッドレベルの違反をしてしまう危険性はないと考えられます。

 

医療機関ホームページガイドラインの内容とは?

では、そのガイドラインの内容を具体的に見ていきましょう。

ガイドラインは、ネガティブリストとポジティブリストで構成されています。

ネガティブリストとは「やっちゃいけないこと」のリスト、ポジティブリストとは「これならやっていいよ」「これをやるといいよ」というリストのことです。

 

ホームページでやっちゃいけないこと

 

ホームページでやっちゃいけないこと

 

1)内容が虚偽にわたる、又は客観的事実であることを証明することができないもの

嘘ついちゃだめだよ、ということです。当たり前と思われるかもしれませんが、知らず知らずのうちにやりがちなNG表現もあることに注意しましょう。

 

「○日で治療が終了します!」はよく考えて

治療後、経過観察のために定期的に通院しなければいけない場合、治療完了とは言えないということでNGになります。例えば歯科医院のインプラント治療でよくあるのが、「インプラント埋めて被せ物かぶせてたら治療終了です!でもメンテナンスのために定期的に通院してね」という表現ですが、これも厳密に言えばガイドラインに違反した表現ということになります。

 

「絶対に安全」という表現は使ってはいけない

医学的に、絶対に安全な治療・手術を行うことは困難なので、「絶対に安全」という表現はダメなんですね。「安全な治療を心がけています」「より安全な治療を行うために○○に取り組んでいます」といった表現に置き換えることで、ガイドライン違反を回避することができます。

 

「〇%の満足度」という表現は一緒に根拠を

どこでどういう人に、どのような調査をしたのかの根拠を示さずに調査結果だけ示してあるものは、客観的事実ではないとして扱われてしまいます。

せっかく調査してデータを持っているんだったら、嘘つき呼ばわりされないように具体的な調査の方法などを添えて表示しましょう。

 

2)他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの

他の医院の悪口を言うのはもちろん、「日本一」とか「東京都で有数の実績を誇る」などもNGです。他と比べる表現自体がダメなので、仮に事実であったとしても自重しましょう。感情的にも、他人の悪口ばっかり言うお医者さんって何となく嫌な感じがしますよね。

また、「有名人の○○さんも治療を受けています!」もNGです。著名人がお勧めしていると、他よりも優れているという印象を受けやすいからだそうです。

 

3)内容が誇大なもの又は医療機関にとって都合が良い情報等の過度な強調

これはさらに内容が細分化されているので、1つ1つ見ていきましょう。

 

3-a 任意の専門資格、施設認定等の誇張又は過度な強調

任意の専門資格とは、例えば活動実績のない団体の認定医なんかがこれに当たります。今、広告してもいい専門医資格は厚生労働省で決められています。(詳しくは厚生労働省HPから)

施設認定の誇張は、分かりやすい例で例えると、「都知事の許可もらってクリニック開院してるよ!すごいでしょ!」という表現です。都知事の許可がないとそもそも開院なんてできないんですが、あたかもすごいことのように思わせているということで、NGに当たります。

 

3-b 手術・処置等の効果・有効性を強調するもの

いわゆるビフォーアフターの写真などがこれに当たります。

医療法改正前の段階では、ホームページは広告ではなく、ユーザーが検索をしてたどり着くという特性上、ビフォーアフターの写真もグレーゾーンとして黙認されてきた部分がありました。

ところが2017年10月、厚生労働省は検討会を開き、美容整形で多発しているトラブルはビフォーアフターの写真にも原因があると厳しく指摘。

不正な加工が施されていても、写真から判断することは難しいことなどから2018年6月以降は、全面禁止する方針を固めています。

今後、他の分野でも規制が強化されることが考えられるので写真掲載には慎重になったほうがいいかもしれません。

一方、学会発表などではこれまでどおりビフォーアフターが掲載でき、これを引用することは可能となる可能性は高いと考えられます。

 

3-c 医療機関にとって便益を与える体験談の強調

いわゆる患者さまアンケートというものですね。しかしこれも、アンケートを載せること自体がNGなのではなく、「アンケートの良い部分だけ切り取って掲載」とか「患者さんにお金を払って良い評価にしてもらった」という場合がNGに当たります。

 

3-d 提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引

「来院された方に○○プレゼント!」というキャンペーンはしてはいけません。物やサービスで釣らないで、正々堂々と勝負しましょう。

 

4)早急な受診を過度にあおる表現又は費用の過度な強調

早急な受診を過度にあおるとは、いわゆる期間限定キャンペーンなどのことです。「今行かないと高くなっちゃう……」と不安をあおるような表現はNGです。

費用の過度な強調とは、「インプラント1本300,000円。でも5本やると1,000,000円」というような表現のことです。「靴下5足で1,000円」とか思わず買ってしまいますが、医療分野でこれをやると怒られます。

 

5) 科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなどして、医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの

ちょっと長くて難しいですね。ガイドラインにNGに当たる表現が出ているので一気に見ていきましょう。

「○○の症状のある二人に一人が○○のリスクがあります」
「○○手術は効果が高く、おすすめです 」
「○○手術は効果が乏しく、リスクも高いので、新たに開発された○○手術をおすすめします」

科学的根拠がないのに、こういった表現をして医療機関への受診を誘導するのは、医療機関としてあるまじきことですね!

これらの表現は、科学的根拠に基づいていれば問題ないとされています。一般的に科学的根拠とは、科学雑誌のチェックが入った事実。通説だけを述べ、他の治療法と比較するような表現をしなければ大丈夫だと思います。また、新しい治療法の場合は、その有効性を証明できるようなHP(できるだけ公的機関の)へのリンクを貼ると良いでしょう。

 

6) 公序良俗に反するもの

説明するまでもありませんが、絶対ダメです。

 

7) 医療法以外の法令で禁止されるもの

・薬事法
医薬品・医療機器の誇大広告を禁止する法律

・健康増進法
食品として販売する商品の誇大広告を禁止する法律

・不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
商品やサービスの誇大広告を禁止する法律

・不正競争防止法
いわゆる「パクリ」商品やサービスを禁止する法律

特に薬事法は医療ホームページと関わりが深いので、要注意です。

 

ホームページに掲載すべきこと(自由診療のみ)

 

ホームページに掲載すべきこと

 

ここからは、自由診療を行っている医療機関のホームページへの掲載が推奨されている情報です。自由診療は内容や費用が医療機関ごとに大きく異なります。そのため、その内容を正しく理解してもらうために、ただ掲載するだけではなく、分かりやすい場所に掲載するようにしましょう。

 

1) 通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項

一般的な料金表を載せましょうね、ということです。最低限必要な金額だけを表示して必要以上に安く見せようとせず、平均的な費用・治療期間・回数をしっかり明記して、必要十分な情報を提供しましょう。

どうしても平均的な費用をはっきり言えないんだけど…、という場合でも通常必要とされる治療の最低金額から最高金額までの範囲をしめすなど、できる限りわかりやすくしなくてはなりません。

当然、別ページでの表示極端に小さい文字での表示はNGです!

 

2) 治療等のリスク、副作用等に関する事項

メリットだけではなく、ちゃんとデメリットも掲載しましょう、ということです。

当然、こちらもわかりやすく表示させましょう。

 

医療機関ホームページガイドラインを守らないとどうなるの?

 

医療ホームページガイドラインを守らないとどうなるの?

 

繰り返しの説明になりますが、「医療機関ホームページガイドライン」は、現段階では法律でも条例でも何でもなく、単なる指針です。守らなかったからと言って逮捕されるとか営業停止処分になるとか、そこまで大げさなものではありません。しかし、都道府県の担当者から電話がきて行政指導が行われる可能性はあります。

政府広報オンラインには、「疑わしいホームページがあれば、お住まいの都道府県の医療課や医務課にご相談ください」とあります。もしあなたのホームページがガイドラインに違反にしていて、誰かが通報した場合、行政指導が入り、最悪の場合ホームページの公開停止に追い込まれる可能性はあります。

 

しかも、2018年度に医療法の改正法が施行されたら、ホームページが広告扱いになり、さらに厳しく規制されてしまうかもしれません。

医療法違反では、刑事罰の可能性だってあるのです。

 

 

いまは平気平気と思っていても、そのうち指導の手が回ってくる可能性は十分考えられます。

今から誠実なHPづくりを心掛けたいですね。

 

「バナー」「リスティング広告」を打つ場合はもっと厳しい基準がある?

 

「広告」を打つ場合はもっと厳しい基準がある?

 

WEB広告を考えている方は、もっと注意が必要です。「情報提供の場」ととらえられているホームページとは異なり、半ば強制的にホームページへの誘導バナーを表示させる「WEB広告」は、今の段階でもれっきとした「広告」と認定されており、「医療機関ホームページガイドライン」ではなく「医療広告ガイドライン」に則った内容でなければいけません。

「医療広告ガイドライン」では、患者さまアンケートの掲載禁止ビフォーアフターはもちろんビフォーのみ・アフターのみの写真掲載禁止など、より厳しい基準が定められており、これらの基準をクリアしなければ広告掲載が認められません。

つまり、WEB広告を打つ場合、それを見越してホームページを作成するか、WEB広告用に新たにホームページを作成する必要があります

 

最後に

「医療機関ホームページガイドライン」とはそもそも、「ホームページに表示されていた安い料金を見て受診したら、その料金より高額な費用がかかると言われた」「『100%効果あり』とのうたい文句の点滴を受けたが効果がない」などのトラブルを防ぐ目的で作られました。

ですので、患者さんに誤解されないよう、誠実な表現を心がけていれば、ガイドラインに違反することはほとんどないといっても差し支えありません。

また、「医療機関ホームページガイドライン」をしっかり守ったホームページを作っておけば、たとえ法改正でホームページが広告扱いになっても、一発レッドレベルの違反をする心配はありません。

ホームページを作成、もしくはリニューアルする際、「とにかく集患したいからてっとり早くアピールしよう!」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、まずはご自身の想いや医院の取り組みについて見直すところから始めることをお勧めします!

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