医療系情報サイトが大量閉鎖!問題点は何?

2016年11月、DeNAは同社が手掛ける医療系キュレーションサイト『WELQ』を閉鎖しました。DeNAは『WELQ』だけにとどまらず、その後も相次いで9つのサイトを閉鎖。常に検索上位に表示されるような大手サイトが次々と閉鎖される異例の事態となりました。

 

問題となったのは、記事の信ぴょう性や記事執筆のプロセス。

記事の編集方針が不適切だと批判が相次ぎました。

いったい何が問題視されたのでしょうか?

 

◆サイトの信ぴょう性が疑問視されたWELQ騒動

医療系のキュレーションサイト『WELQ』。

キュレーションサイトはテーマを決めてインターネット上の情報を集めているサイトで「まとめサイト」とも呼ばれています。

医療やヘルスケアといったテーマで様々な情報をまとめた同サイトは、2016年夏の時点でスマートフォンからの閲覧だけでも延べ600万人以上に上り(※)、医療系キュレーションサイトでは最も多くの利用者を集めていました。

※ニールセン調査

 

そんな最大手サイトが突然の閉鎖。

問題視されたのは記事の内容でした。

 

『WELQ』の記事には他のサイトから不正に引用されているものや、出典元が不明瞭な記事が多く見られ、以前から著作権侵害が指摘されていました。

おりしもの著作権問題がくすぶる中、新たな問題が浮上し、『WELQ』問題は一気に注目を浴びたのです。

それは医学的根拠のない、信ぴょう性を疑うような無責任な記事内容。

例えば、肩こりに関する、ある記事。

「悪霊の仕業かもしれない」などと目を疑うような内容が堂々と掲載されていたのです。

さらに、「あるサプリメントがインフルエンザやがんに効く」など、本来のサプリメントの使い方から逸脱した記事が掲載されており、薬機法(旧薬事法)に抵触している可能性がありました。

 

WELQの記事は検索ページの上位に掲載されるため影響力が大きく健康被害が出かねないと批判が相次ぎ、11月には東京都の福祉保健局健康安全部がDeNAに対して説明を求める事態に陥り、ついにはサイトが閉鎖されてしまったのです。

 

◆問題の根幹にはモラルの欠如が

大手のDeNAが手掛けるサイトでどうしてこのような問題が起きてしまったのでしょうか。

そこには効率的に検索順位を上げ利用者を増やすことに特化して、医療的な正確性や信頼性を置き去りにする、モラルの欠けた戦略が見え隠れしています。

 

インターネットを利用する人は年々増え、今では子供から高齢者まで非常に多くの人がネットを通して情報を収集しています。

情報があふれ、どのサイトを見たらいいかすぐに判断しづらくなった状況を反映して登場したのが「情報をまとめるサイト」であるキュレーションサイトです。

 

インターネットを利用するとき、多くの人は検索ページの1ページ目、それもページの上位にあるサイトから閲覧し、検索ページが下位のサイトまでは閲覧しない傾向があります。

また、検査順位が上位のサイトほど多くの人が閲覧したサイトだからと信頼される傾向が強くなります。

企業は運営するキュレーションサイトの価値を高めるため、検索順位があがるように様々な戦略を立てる必要があるのです。

 

短期間のうちに検索ページの上位にサイトを持っていきたい『WELQ』の運営元は、毎日大量の記事をサイトに掲載する編集方針をとっていました。

そのためには多くのウェブライターに執筆を依頼する必要があり、多くの記事を外注に頼らざるを得ない状況でした。

医療系の専門知識を持ったライターは少なく、執筆を依頼すると多くのコストがかかってしまいます。

コストを抑えるため、『WELQ』では医療の専門知識を持たないウェブライターが多くの記事を量産する体制をとっていたのです。

低コスト体制のため、チェック機能も十分ではありませんでした。

他のサイトから不正に引用した記事ががないか確認したり、医療の知識を持った専門家が記事を監修する体制が整えられておらず、問題のある記事がそのまま掲載されてしまったのです。

 

◆情報提供のモラルが求められている

このような専門知識を持たない外部ライターに執筆を依頼しているキュレーションサイトは数多く存在しています。

しかし、『WELQ』は利用者の健康問題に発展するリスクがある医療系の情報を取り扱っていたので問題が表面化しました。

 

インターネット上に膨大な情報が散らばっている現在、価値のある情報をわかりやすくまとめてくれるキュレーションサイトは便利で、利用者からの人気も非常に高いです。

医療機関にかかる前に、キュレーションサイトで自分の症状を確認する人もたくさんいます。

だからこそ、特に医療の分野では記事の内容が正しいのかどうかが非常にデリケートな問題になります。

専門家自らが記事を執筆したり、専門医が記事を監修して記事の信頼性を担保し、正確な情報を提供することが大切です。

情報社会の今だからこそ、情報を提供する側にモラルが求められているのです。

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